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代表 関賢助
「松崎町の土蔵、海鼠壁」

                              松崎蔵つくり隊代表 関  賢 助 

 伊豆の松崎町。人口は8,200、戸数3,150戸の小さな町に、昭和10年以前に
建造された、外壁が海鼠壁(なまこかべ)の建物が200軒ほど現存しています。

 その多くが明治から大正年間に建てられたものですが、その中には、初期の海鼠壁工法
と言われている、幅10センチ程の板を斜め45度に張り、その上に瓦を貼り付け、海鼠
壁に仕上げてある外壁もありますが、その多くは竹木舞といって、竹を縦横に組んで格子
状態にし、その上に土を塗り、瓦を張りつける、土蔵造りとなっています。

 このような工法で建てられた土蔵は、防火耐火はもとより、厚い土の塗り壁によって、
室内湿度は、年間を通して変化が少ないのです。そのため穀物をはじめとする、物品の貯
蔵には最適とも言われます。(今回建てる土蔵は、通常では見られない、小さな蔵ですの
で、室内温度変化はない、とは断言できません)。

 厚い土の壁、外は海鼠壁仕上げとなりますと、どのような造りであっても、通常な建物
と比べて、工事期間は長くなり、費用も多大になります。町内で多くの土蔵が建てられた
時代は、種繭や、養蚕業の最盛期であり、木炭や薪、などの日常生活に欠くことのできな
い物資の生産も、盛んであった時代です。冬場の強い季節風によって、一度火災が発生す
ると、当時は萱葺き屋根の多い事もあって、延焼することが多かったのです。火災から我
が家の資産を守るためと、大切な穀物の保存を目的とし、二階は住まいに、一階は穀物の
あてて造られています。

 建物は左官の土や、漆喰工事が主体とあって、出窓や霧除けの屋根を支える『持ち送り』
や、屋根、瓦の端や鬼瓦の周囲に、入江長八に手ほどきされた、左官職人の技である、漆
喰彫刻が数多くみられます。

 松崎町で最も年代を経ている土蔵は、大沢の大屋(現在の大沢温泉ホテル)に現存する
蔵(江戸時代中期1804年頃)と言われています。私たちは70〜80年ぶりに土と漆
喰(石灰)と瓦の自然素材で造る「土蔵海鼠壁』は、小さなものです。その建物に会員は
スローライフにも連なる、ロマンを求めています。


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