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 「土の引き戸

                          松崎夢の蔵・事務局 細 田 栄 作

 現在、建設中の「松崎夢の蔵」は、ただ造ればよいというものではありません。この蔵
は「玉手箱」である。多く人の夢、魂を入れ込む宝庫なのです。

 先日は「土の扉」について述べたが、この引き戸は出入り口となるものです。もちろん
漆喰で塗り固める「防火戸」です。

 仲間の早耳筋が「朽ち果てる蔵の戸だが、素晴らしいものがある」と知らせてくれたも
のです。「だが修理個所は多く。ただほど高くつくかも知れないが!」と。

 まさに言葉通りの代物でした。職人が新しいものを造る何倍もの時間と経費がかかりそ
うです。だが、造られた時は立派なものであったろうことは容易に分かります。今は見る
影もありませんが、その当時は鮮やかな漆喰画であったでしょう。

 それを造った職人の魂のようなものを感じ、あえて修繕に挑戦したいと思いたったので
す。そう、あの朽ち果てる寸前の蔵の分身が、「夢蔵」の主要部となって生き抜けるので
す。そして、末永く語り伝えられるのです。従って「夢蔵」は、沢山の壊された蔵の命を
収蔵した宝庫でもあります。

 そして初めから建設されるノウハウ、いろいろな人、職種が連携して出来る連鎖なので
す。次の時代に伝えるものが一杯つまっています。われわれは国民文化祭というチャンス
を手段に捉え、この町の職人、建物、文化を見直し、未来に伝えることを目的としていま
す。

 なお、引き戸をいただいた蔵は、朽ちたといえ現役です。いただく戸の代わりを用意し
なければなりません。その戸(漆喰戸)造りに数日費やしたことを付記いたします。
                                        

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