広報部レポートバナー職人共和国

「広報レポート」表紙にもどる

 「夢蔵と静岡沖地震

                    松崎蔵つくりたい事務局 細 田 栄 作

 8月11日午前5時7分、松崎町は「震度5強」の地震に見舞われました。ズッシ! 
きびしい揺れの中でとっさに私の頭の中でひらめいたものは「夢蔵」の無事であることで
した。

 実は、9日には正規な(公開)の夢蔵作業が行われました。盆を前に参加者は少なかっ
たのですが、テレビの取材もありました。次の日も申し合わせたように数人が集まりまし
た。このように指定日以外でもおおくの作業が行われているのです。

 「職人共和国」と言われる、いや言われた? 松崎町のこの夢蔵に携わる人たちの熱意
が伝わってきます。このようなお陰で素人集団が大きな目的を果たすことが出来るのです。
 この日、鍛冶屋さんが細かな寸法をとって家の作業場で仕事をしようとやってきました。
建具家さんも何度も蔵に出向き、打ち合わせをします。そして少しずつ、あまり知られる
ことなく「夢蔵」は完成に向かっていきます。

 前日、思いがけなく四国沖の熱低が「9号台風」に発達してしまいました。11日にも
松崎に影響を与えそうな予報に変わりました。従って、左官職人のカン「暗黙知」は予定
を前倒しして、下屋下の踏段石の部分を作業しました。(その一段上は煙返し)。そして
台風対策として引き戸の代わりに代用の戸を打ちつけ、上の扉にもコンパネにて塞ぎ、次
回作業まで封鎖されることになりました。

 このように一つのプロジェクトは、ボランティア精神の「集合体」なのです。

 それが一瞬の地震で壊される、と考えると不安が増幅されていきます。中瀬、近藤、伊
豆文、依田、駿河屋、大沢温泉ホテル、岩科学校、山口集落等など、私の頭はパニック状
態です。

 松崎の売り物は「なまこ壁」なのです。無事でいてくれと祈るばかりです。

 地震が収まるとすぐ豪雨となりました。我が家前の那賀川が膨らみ、濁流となって流れ
を速めます。これでは四国や兵庫県の二の舞いを演じる恐れさえ感じます。でも、幸いな
ことに短時間で小雨になりました。

 そこで「夢蔵」の現場へ急ぎます。雨にも洗われすきっとした姿で立っています。「あ
あ、無事だった」と、安堵します。

 そして伊豆文邸へ行きます。ナマコ壁の一部が壊れていました。震度5強なので仕方あ
りません。ここは伊豆沖地震、かれこれ35年位前に壊れ、応急処置をした個所です。我
々蔵づくり隊が5年前に修復したところは無事でした。

 また、中瀬邸も何箇所か壊れていました。12日、二人の職人さんが屋根にのり、早速
に修理をしてくれています。お客さんに怪我をさせてはならないとの職人魂です。

 是非はともかく、「ナマコ壁の佇まい」を売りにしている松崎町です。当局の対応が気
になります。

画像は、@中瀬邸の側面 AB中瀬邸を修理する職人 C伊豆文邸の側面                                      

広報部レポート表紙へもどる

トップページ  国文祭しずおか2009  蔵つくり隊とは     アクセス   

動画