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「荒 壁 塗 り」
松崎蔵つくり隊事務局 細 田 栄 作
皆さんは「二十八宿」という暦があることをご存じでしょうか。11月8日は、その「房」
にあたります。棟上げ、家屋の造作、田園の買い入れ、結婚式に「大吉」と言われます。
特に棟上げには最高の日なのです。二十八という数字は月齢に由来するということです。
「え、!もう棟上式は終わったのでは?」。そうです、この「松崎夢の蔵」の棟上式は
終わっています。しかし、本来の蔵の棟上げは、土蔵として「荒壁」が塗られた後に祝う
ものなのです。
でも、8日は雨でした。神奈川県、御前崎からも駆けつけてくれた隊員もあります。2
日間を予定していた「荒壁塗り」作業です。次の9日だけで終了しなければなりません。
そこで午前中、柱が汚れないように紙を巻いたり、縄をたらしたりの作業をしました。
9日は曇り空の下、いよいよ作業開始です。伊豆文邸裏の7月20日に作られた泥土、
かぶせてあったブルーシートを外します。紫がかった黒色、約100日寝ていた土が顔を
出します。十分に発酵した最高の壁土となっていました。
今度は、建設中の「夢蔵」前にもシートが張られ、そこを一時のプールにします。泥土
は136号線を挟んだ向こう側から一輪車で運ばれます。それをこちらのプールに移し、
水や藁を混合して適当な柔らかさにします。それにはジョレンを使い、素足や長靴で踏み
込むのです。粘りがあるので疲れる作業です。でも、泥にふれる感覚はDNAでしょうか快
いもので、幼い日がよみがえってきます。それを他の人の手のひらにリレーするのです。
同じ事を多くの人と分かち合う幸せ「相互扶助」、目頭が熱くなります。
それを両手で持てるほどの団子にし、一列に並んでリレーをするのです。昨日つけられ
た荒縄を斜十字に垂らし、竹小舞が掻かれた上に軽く打ち付けます。それを左官経験者が
鏝で均していきます。
土壁が塗られていくと、建物として完成に近い姿を見せてくれます。まだ内壁も塗らな
ければなりません。この作業は11月16日午後9時〜を予定しています。こんな体験め
ったに出来るものではありません。生涯一度の貴重なものになるはずです。皆様もぜひ
参加されたらいかがでしょうか。お待ちしております。
20.11.10
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