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  「瓦 葺 き」

                            松崎蔵つくり隊広報部 松 本 晴 雄

 10月2、3日、「松崎夢の蔵」の屋根葺きが行われた。私は病み上がり、現場へ足を
伸ばすことはなかったが、友人が写真に収めてくれた。40数年前、我が家の新築に屋根
へ登って立ち会っただけであるので、現在の屋根葺きに深い感動を覚えた。

 屋根瓦も、なまこ壁の平瓦も原型のまま全部が納まるというものではない。必ず半分と
か、半端が出てくるものなのである。昔は左官屋さんが、一方の先がややとがった金槌を
もっていて、現場の大きさに合わせて叩き割った。これが職人でも難しく、おシャカにな
るものが多かった。義母などこれを見ると、現金が消えていくようにイライラしたもので
あった。いまでは「サンダー」という機械を使って無駄なく割っていく。

 また、瓦や資材を持ち上げするにも、簡易エレベーターを設置(@)し、昔のように手
伝い衆がハシゴにたかってリレーをすることはない。

 そして、以前は練った土を使って瓦の下に置いて安定させたのだが、今は既製品のスサ
の混入する「シルガード」という、撥水性のある資材を使う。防水にもすぐれ雨漏りを防
ぎ、瓦の形を整えて葺くことが出来る。なお、土団子にしてリレーし、大の大人が顔をめ
がけて投げ、じゃれあった昔が懐かしい。

 今回、特に興味をひいたのは、軒瓦の次ぎになるところに「風切り」(A)と称する丸
瓦を縦方向へ乗せていることである。これにより風を分散させ、瓦が吹き飛ぶのを防御す
る知恵なのである。

 そして棟には平瓦を数段おき、その上に棟瓦、端に「鬼瓦」(B)を乗せ、完成(C)
させるのである。

 私は歴史ある知恵に脱帽せざるを得ない。この蓄積も自慢という形でなく、ごく当たり
前として職人に受け継がれていることに感動するのである。
                                        

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