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  「木組み(ほぞ)」

                                    蔵つくり隊広報部 松 本 晴 雄

 最近、「木を読む」(林以一著・小学館刊)という本を読んだ。これまで木を挽くとい
うことは、製材所で柱や板にするほうが能率的で、材質のためにも良いと思いこんでいた。
著者は大鋸(おが)で挽いたものは無駄がなく、一本の木にも適材適所、角柱、柾盤、四
方柾、板杢、カモイ材、建具材、幅木などが挽き出せるという。手作業だからこそ木(板)

 目の美しさを見せることが出来るのだ。例えて言うなら、肉屋・魚屋がその部位によっ
て食材としての目的を変えるのと同じである。

 話題を【夢蔵】の方へ戻そう。大沢里・梅田製材所で挽かれたものが、池代・鈴木工務
店へ運ばれる。そして後藤大工が棟梁となって鈴木大工と、建物としての加工をしていく。
一番驚いたのは小舞竹を受ける棚状の柱であった。

 それに釘を使わない日本古来の「木組み」の面白さである。「ほぞ=木偏に内)の複雑
で理屈にかなった知恵の粋である。木と木を接合するため、一方の木材の端に突起を作り、
他方の材にほぞ穴を作って差し込む方法である。ほぞには、平・長・短・小根・重ね・二
枚・四枚・肩・輪薙・あり・しゃくし・だぼそ・待ちほぞ・流れ・地獄など多種があると
いう。別に設計書に書かれていないが、大工は丁鉋や鑿、鋸を使いこなして刻んでいく。
合掌部分など工夫の極地で、暗黙知の展開である。

 それを聞きつけて新聞社やテレビ局が取材に来る。高校生は「夢蔵・絵本」を制作過程
にあることから驚きの眼でスケッチする。

 私たちは、古来のものをダメと決めつけ、欧米方式を能率的・経済的とさも理想として
描いてはいないのか。風土に適合する知恵の蓄積が、日本建築なのだ。土蔵にしても高湿
度な気候に合う穀物の貯蔵に最善、防火にすぐれていることから生き残ってきたのだ。外
材を使えば20年、土地の木材を使えば3代長持ちするという。「住んで心安らぐように
建てるのが大切」という、林氏の言葉である。

  

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