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  「基礎工事」

                              松崎蔵つくり隊広報部 松 本 晴 雄

 私のような不器用人間には、水平・垂直・直角を大工・左官が簡単に割り出す様が、こ
の年齢になっても理解出来ない。勤め人だった関係で、実際の現場に立ち会うことがなく、
自分を不器用人と決めつけ、手を出そうとしなかったためである。

 今回の【夢蔵】基礎工事にも都合悪く、立ち会うことが出来なかった。でも、友人たち
が撮ってくれた画像、話しを聞いたことを書いてみようと思う。

【水平】
 「水盛り」といい、昔は水を張って水平を割り出した。今でも器械がない場合、透明な
ビニール管の中に水を入れて計る。昨はレザー光線を放つ「水準器」が主流となっている
という。今回の「夢蔵」では、大工所有のこの水準器が使われた。

【垂直】
 水平が出れば曲尺の直角を使えば割り出せるが、大工さんなどは柱に錘を垂らして「垂
直」を出し、筋交いなどで固定する方法をとる。

【直角】
 曲尺の利用、ピタゴラスの定理3:4:5という木材で三角形を作って割り出す。

 9月6日午前、地鎮祭を済ませたあと、午後より水盛りが行われる。建物予定地より少
し外側に杭を打ち込み、狭くて長い板状のもので囲んでいく。基礎工事の型枠が割り出さ
れる。

 9月7日、鉄筋を曲げたりして現場合わせし、型枠の芯にし、それを針金で編み、コン
クリートの芯にする作業をする。

 9月8日、「夢蔵」が出来るという情報を聞いて、生コン業者が無償提供しようと生コ
ン車でやってくる。それを型枠の中に流し込み、上面を鏝で仕上げる。また、土間はスコ
ップやジョレンである程度ならし、鏝で仕上げる。
 ここは絶対的平面ではなく、水掃除したときの水はけまで計算してある。家が長持ちす
るか否かは、この「水まわり」、水道などの漏れ、家の周囲の水はけ、と言われる。現在
の家が25年程度しかもたないのは、この水回りの悪さだという。しっかりと左官職人は、
そこを忘れていない作業をする。

 私はいつも感心するのは、ここにも3〜4人の棟梁的職人がいるのだが、口論すること
なくスムーズに資材を整え、作業を進めるということである。長年培った「暗黙知」の世
界がここにある。

 以前、ライフワーク・依田勉三研究のおり、ケプロン(北海道開拓指導者・元米国農務
省長官)の日誌「江戸と蝦夷」を読んだことがある。函館でのことだが、釘を発注するの
に鍛冶屋1人に役人数人が見守り、データーを集めする件があった。現場職人を信用出来
ない悲劇がそこにある。信用されるなら最後まで責任を持つのが職人の世界である。素人
の役人が能率を悪くさせ、経費増大につながらせているのである。



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