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  「中塗り作業

                           松崎夢の蔵・広報部 松 本 晴 雄

 1月31日に予定されていた「荒壁の上に塗る、中塗り作業」は、暴風雨の予報から早
めに中止が打ち出された。しかし、朝から雨は止んで作業が出来ない状態ではなかった。
でも中止が決まった以上、集合をかけることは出来ない。そのためシートを除けて午前中、
土の練り直し作業を数人で片付けた。

 私は、その現場には立ち会わず、「ぶらっとメンバー」の亀山さん、荻生さん、名田さ
んに逢いたいと昼食を自宅でとってから出かけた。ブログ仲間の顔を直に見るのは胸とき
めくものがある。しかし、別のガイドのG氏が案内しているとのこと、気が萎えて仲間た
ちと話しを交わしていた。すると、Sさんが山梨県の左官職人を案内しているのに出会っ
た。蔵づくり隊の中村さんが「私の作業場を見てきたら」と、私にも声をかけてくださっ
た。それより山梨県ナンバーに便乗、岩科学校へ立ち寄った。するとぶらっとメンバーが
偶然にもいて、両手を合わせて再会を喜んだ。なお、亀山さんとは初対面であった。

 岩科学校は、山梨県・ぶらっとメンバー合流で見学、そこから彼女らは石蔵なまこ壁を
取材に、私や山梨県は中村氏の工房を見させていただいた。氏は2年ほど前、原因不明の
重病となり、生死の境をさ迷った人物である。長い間、左官職人をされていてその道のベ
テランでもある。初めは結構体の動きに大変さを思わせたが、今では屋根にも登れるほど
に回復した。それは漆喰細工という格好のリハビリによってのことである。平屋の小屋に
は十数体の仏像や、額縁に入れられた鏝絵がところ狭しと並べている。見る人の心を圧倒
するほどの迫力がある。誰にも習わず、独学での作品だという。

 1日は、朝から晴れ、しかも暖かな好日であった。私は最近、家庭の事情もあり、隊員
でありながら実際の作業には参加していない。ただ広報部ということで取材を専門にやら
せていただいている。亀山さんと荻生さんは、少女のごとく目を輝かせて土を乗せる「羽
子板」を持って嬉々としておられる。やはり名田さん「塗り壁コーディネーター」という
だけあって、二階部分の足場で壁塗りをしている。手つきもほぼ確かである。

 荒壁のひび割れた個所が30人ほどの力で、見る間に見違えるほどきれいに塗られてい
く。小学生もいれば女高生もいる。地元高校の校長先生もいる。もちろん昨日出会った山
梨県の職人さん3人も参加している。大勢が心を一つに作業をする姿は、実に美しいもの
である。私のような不器用者には、左官棟梁T氏が、最後の仕上げに板木の定規にして「平
ら」を測っていたのが印象的であった。

 なお、地元高校の生徒に「絵本」作りをお願いしている。スッケッチに余念がない。ど
んなストーリーの絵本が出来上がっていくのか。この夢蔵の理念が若者にどう伝わるかも
楽しみの一つである。

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