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   墨だしと瓦貼り

                        松崎蔵つくり隊広報部 松 本 晴 雄

 3月8日、予報では午後から雨のため作業が危ぶまれた。でも、朝の予報で曇りと変更
され、なまこ壁蔵作りの最大のポイント、墨だしと壁貼り作業を二十数人が参加して行わ
れた。

 まずなまこ壁に使用される平瓦の対角線が計られる(30セン瓦だと対角線は43セン
チ)。それを長い板に線をつけて物差しとして使うのである。次に建物中央の屋根尻から
糸につけた分銅を降ろす。その糸を曲尺で受け、しるしがつけられる。その中央を起点と
して上部・下部に左右に振り分けてしるしがつけられていく。

 その各点を45度の対角線で結び、墨壺からの糸で線が付けられる。左官の場合、大工
の墨とは違い、赤系統の色が使用される。それを反対側からも線をつけ、斜めの正方形が
描かれる。やや現物の瓦より広めにしるしがつけられる。多少の遊整によって隅の対象が
保たれるのである。

 墨だしは、本職の左官屋さんにお願いする。それが終わると、いよいよ瓦貼りである。
瓦の裏に漆喰が四隅につけられ、土壁に押さえつける。これだけでは瓦の重量で垂れてく
るので、木釘で止めるのである。あらかじめ作られたビャクスギの釘を打ち込んで固定す
る。なお、場所によっては小さな三角形や変形瓦をグラインダーで切って作り、折れ釘部
分には穴を任意に開けなければならない。

 厳密にいえ下部の方から上部に向かって貼る。それも三角部分を優先した方がよいとの
指導を受ける。そして次々と多くのひとが参加して積み上げ作業をする。じょじょに蔵の
形を整えていくのが何とも言えないほど嬉しい。自分の手で歴史的建造物が確かな手応え
で建設される喜びである。

 テレビ取材も2社がカメラを構える。この蔵づくりプロジェクトの中には、高校生によ
る「絵本づくり」もある。スケッチする女高生にTVマイクが向けられ、頬を赤く染めて
彼女は答える。回を重ねるうちに内容を理解し、高校生も本気になっている。大人達と対
等に作業をすることで自信が生まれてきたようである。これから人生に役立つであろうこ
とは明白である。

 いつも登場する南伊豆町の鈴木鍛冶屋が、ボストンから日本人夫婦をお連れする。そし
てご夫婦は壁貼りに飛び入り挑戦する。私が記者に外国からこられたことを知らせ、その
取材も行われる。

 この日は、建物両側面に瓦が貼られ、その隙間(目地)に漆喰が埋められて終了する。
この続きは14日に行われ、前面と背面に瓦が貼られる予定である。本当になまこ壁の蔵
らしくなってきた。
                                        

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