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   職 人 気 質(かたぎ)」

                        松崎蔵つくり隊広報部 松 本 晴 雄

 大雨の降った後など、新築した家には左官職人が「雨漏りはありませんでしたか」と、
一度は必ず見回りに来てくれる。また、大地震の時も……。地元の職人にお願いして良か
ったと思う時である。これが建て売りメーカーなら、遠方を良いことにして知らんぷりで
ある。もっとも最近の建物には左官職人が腕を奮う部分も少なくなったが……。

 5月24日「夢蔵・中塗り作業」に私も取材に出掛けたのだが、途中で大きな雨にあっ
て現場まで到達出来なかった。そこで細田氏に「女性パワーに感謝」という一文をお願い
したのだった。

 ところで26日、私はその作業の進み具合を見ようと出掛けると、代表・関賢助氏が一
人で黙々と作業をされていた。職人気質として「こんな仕事をして」と、後の世にも後ろ
指をさされたくないからである。「松崎夢の蔵」の作業は、大勢なボランティアの手によ
って完成させようとする事業ではある。しかし、左官を天職としてきた代表にとってプラ
イドがそれを許せないのだ。

 一対一であるので、代表に職人の苦労話などをしてもらう。左官業は乾き具合をみて作
業を重ねるので、晴雨、夏冬、時刻によっても違い、食事抜きや、延ばしたりするのはざ
らだという。暑い夏日の方が乾燥するので作業がはかどる。苦手なのはこれから始まる「梅
雨」だとも……。

 私としゃべる間も手を休めないで鴨居の難しい部分を水平に、垂直にと塗っていく。私
のような不器用者には水平とか、垂直とか考えられない魔法である。代表はさも簡単に板
きれを定規にしたものを目安に塗っている。さすが長い経験のすごさを思う。

 28日、左官職人4人(うち土肥1人)と、細田氏が手伝って作業が行われた。素人に
出来るところ、玄人でなければ出来ない個所をきっちりすみ分けして真剣に作業が進めら
れている。29日は、前日の5人に御前崎の職人1人が参加する。そして足場が取り除か
れる。

 先ほども建て売り話をしたが、田舎においてもその方面に仕事が奪われ、大工・左官の
仕事が激減している。建築主としても安く、早く出来るので目を奪われがちだが、地元職
人のケアーによる本当の「長持ち・安心」を考える時、一考を要する問題であろう。また
「明日来ても可笑しくない」東海地震、職人が身近にいなかったらどうなるだろう。ブル
ーシートのままに数年放置されるだろう。まして過疎化時代、一大職場であった「職人」
がいなくなれば、町の将来は自ずと知れようというものである。
                                        

▲関代表

▲中村左官

▲高橋左官棟梁

▲長橋左官(土肥)

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