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「土扉に魅せられて」
松崎蔵つくり隊広報部 松 本 晴 雄
土蔵には、なんといっても「土扉」(戸前)がお似合いです。しかし、これを作るには 70〜100人工という莫大な経費と時間を要するのです。ということは140〜200 万円、車一台のお値段です。世知辛い世の中にあって見向きもされないのは当然です。
でも、わが「夢蔵」にそれを取り付けようと頑張っている人物がいます。「扉プロジェ クト」を立ち上げ、古文書の解読から始めています。学芸員、建具屋、鍛冶屋、大工、左 官屋、それに隊員が加わって結成されました。
土扉1枚の重量は1トンと言われます。それを支える蝶番(丁番=ちょうつがい)とか、 内部の骨組みでどうこれを支えるのか、また、「かけご」という段々になった扉の合わせ
目を「紙一枚」の隙間で仕上げるなど、問題山積なのです。
体験者が身近にいれば手をとって指導してもらえるのですが、70〜80年も土蔵造り にかかわった人物は皆無なのです。聞こうにもそれは出来ません。
理論から割だそうとする細田氏、現実の左官職人の高橋・中村・長橋氏、その二方面
から試行錯誤を続けています。1トンの重量を支えるには当然鍛冶屋・鈴木氏の知恵を
頻繁に借り、試作品をお願いすることになります。
昔は「ラス」(縁に張っる穴のあいたプラスチック)や「網」など、漆喰が乗りやすく するものなど無かったでしょうが、それを使ってやっています。
細田氏は『松崎夢の蔵の目玉として、この試行錯誤の体験は自分の人生の最大な宝物に なる』と、語ってくれました。技術的にも非常に難しく、相当の財力が必要だった「土扉」 です。ボランティアだから、遊びだから出来ることかも知れません。それを知ろうと、全 国から注視の的になるに違いありません。
20.11.6
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